メーカーウェブサイトの検索エンジン:その1

アップデート
検索結果レスポンス時間の表はこのブログを最初に投稿したときよりアップデートし、数を増やしています。それにあわせて、文章も一部変更しています。

ライフサイエンス研究用の研究試薬機器を販売しているメーカーのウェブサイトで、検索エンジンのスピードをテストしてみました。

テスト方法は非常に簡単で、厳密な比較は全くできないものです。しかし大雑把な感じをつかむことはできるのではないかと思っています。

具体的にはKDDIの光回線を使用して、MacBook Pro (Intel CoreDuo 2.0GHz)、Snow Leopard、Safari 4の組み合わせで計測しています。計測に使ったのは Safariの開発メニューにある、各リソースのロード時間を計る画面です( 開発>Webインスペクタを表示して、リソースのタブを押す。あらかじめ環境設定で開発メニューを有効にする)。

また検索エンジンの性質を明らかにするため、ヒット数が少ないキーワードとヒット数が多いキーワードをテストしました。

表に載せた数字は、ページ全体がロードする時間ではなく、検索結果を含むHTMLファイルのレスポンスタイムです。レスポンスタイムとは、画面に何かが描写され始めるまでの時間とだいたい同じです。

以下が結果です(2010年7月27日計測時点);

検索結果レスポンス時間
ウェブサイト 検索キーワード ヒット数 レスポンスタイム(s)
roche-biochem.jp PCR 1,600 15.37
fugene 2 0.612
cosmobio.co.jp PCR ND
transfection ND
cd3 7,445 5.36
1540-14 1 0.584
リアルタイムPCR 2,621 0.609
昆虫細胞 66 0.595
catalog.castle104.com PCR 6,262 0.176
iscove 20 0.375
antibodies 105,265 0.221
funakoshi.co.jp PCR 9,476 3.57
CD3 1,731 2.45
CD3Z 156 0.808
invitrogen.jp PCR 220 0.053
CD4 143 0.069
invitrogen.com CD4 426 2.5
PCR 7,598 2.0
takara-bio.co.jp PCR 537 5.97
advantage 48 5.84
bio-rad.co.jp PAGE 302 3.39
PCR 400 3.81
promega.co.jp PCR 92 0.429
DNA 337 0.449
sigmaaldrich.com transfection 1,222 1.20
PCR 894 1.10
qiagen.com miniprep 1,650 2.00
PCR 3,040 2.50
merck-chemicals.jp transfection 70 2.57
PCR 80 1.91
inhibitor 2,400 1.83
millipore.com cd4 173 5.0
cd 338 5.5
フィルター 6,348 5.5
toyobo.co.jp rna 145,303 30
pcr 110 7
KOD FX 3 7
gelifesciences.co.jp PCR 678 0.793
Cy3 333 0.526

全体的に言って、多くのウェブサイトの検索速度は大きな問題が無いレベルであり、検索のスピードでストレスをかけているのは少数派です。ただそうはいうものの、2-3秒かかってしまっているものが多く、決して快適とは言えません。ウェブサイトの表示速度が遅いことによって売上げや顧客満足度が低下するという実証的なデータもありますので、これらは要改善と言えます。1秒程度に収める工夫によって、顧客満足度が大きく向上するでしょう。

Funakoshi.co.jpの検索エンジンは、スピードこそ早くはないものの、精度においては非常に優れています。例えばほとんどのウェブサイトは”CD4″と検索すると”CD44″なども引っかかってしまい、大変探しにくくなっています。それに対してFunakoshi.co.jpの検索エンジンは的確な結果を一発で返してくれますので、遅くてもストレスは少ないでしょう。

それに対して、cosmobio.co.jpのものはどうにかならないかと思ってしまいます。ヒット数が少ないときは比較的早いのですが、”PCR”, “transfection”で検索したときは「15,000件を越えた」とエラーが出て、製品を一切表示してくれません。恐らく検索システムの特性(多分ソートの部分)の問題で、ヒット数が増えると急にスピードが遅くなってしまうのでしょう。しかしcastle104.comやinvitrogen.comなどを見ても分かるように、15,000件を越えたからと言って、何も表示しないのは一般的とは言えません。日頃Googleの超高性能検索に慣れたウェブユーザにとっては、とても容認できないエラーではないかと思います。なおcosmobio.co.jpの検索はメモリにキャッシュされるようで、同じ検索を2回やると、2回目以降がだいたい半分の時間で終了します。

そもそも”PCR”のようなあまりにも範囲の広いキーワードではcosmobio.co.jpが可哀想だという意見もあるかもしれません。しかし”RT-PCR”でも同様に15,000件を越えますので、かなり多くのキーワードで上限を超えてしまうようです。せめてGoogleのように優先順位をつけて、よりマッチが強いものを表示してくれればと思うのは無理でしょうか。

roche-biochem.jpの検索エンジンは私が作っていますので、どうして遅くなるのかはだいたい分かります。ひとことで言えば、検索のスピードに気を使っていなかったのです。ヒット数が少ないときはそれでも問題ないのですが、ヒット数が多くなった場合には問題になるようなデータベース構造や検索式を使っているのです。その結果、ソート(並べ替え)等で時間がかかっています。

その他、2-3秒もしくはそれ以上の時間がかかってしまっているウェブサイトも、同様に検索スピードについて十分に配慮していなかったのだと推測されます。例えばtoyobo.co.jp、millipore.com、bio-rad.co.jp、takara-bio.co.jpの検索スピードを見ると、おそらくは「インデックス:索引」がうまく使えていないのではないかと推測されます。

またcosmobio.co.jpやtoyobo.co.jpのようにヒット数が多くなるに従ってスピードが大幅に落ちるのは(roche-biochem.jpもそうですが)、ソートに問題がありそうです。特にtoyobo.co.jpの場合はヒット数が少ない場合も非常に遅くなってしまっていますので、インデックスの問題とソートの問題が重なっているのでしょう。

はっきり分かるのは、製品数や検索対象の多さ(製品名だけを検索するか、解説本文を検索するか)に関係がないということです。どんなに製品数が多くても、あるいはどんなに検索対象を広げていても、ちゃんと検索スピードに気を使っているサイトはスピードが早いのです。逆に気を使っていないサイトは、製品数が数千であってものろのろしてしまいます。

catalog.castle104.comは非常に高速なシステム (Sphinx検索エンジン)を使用し、スピードに最大限の注意を払っています。内部で結構複雑な処理をしても、また製品数が増えてもスピードは出ます。そして検索対象としては、製品の解説文を含めています。しかしチューニングが不十分なため、まだまだfunakoshi.co.jpのような精度は出ません。これは今後の課題と考えています。

総括

Googleのような超高速、超高性能検索エンジンを普段から使い慣れているユーザにとって、サイト内の検索が使いにくい、あるいは遅いのは非常にがっかりします。幸いなことに極端に検索が遅いウェブサイトは少なくなっていますが、まだ改善を要するものも多くあります。

ウェブサイトの表示スピードが顧客満足度に影響を与えることは実証されています。検索結果を表示するのに2秒以上かかっているサイトは、検索専用のシステムを導入されることをお勧めします。

それと繰り返しになりますが、多数のメーカーを集めたような商社のウェブサイト、例えばcosmobio.co.jpやfunakoshi.co.jpは、オンラインカタログですべての製品をたどれるようには作っていません。検索しないと見つからない製品がたくさんあります。検索エンジンが命のはずです。特にcosmobio.co.jpは改善を考えた方が良いのではないかと思います。

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