ライフサイエンス研究者向けのAdwordsについて思うこと:その2

ついさっき「ライフサイエンス研究者向けのAdwordsについて思うこと:その1」を書いたばかりですが、やりながら頭が整理された部分がありますので、ここに書き留めます。

旧来の広告は何かイベントがあるときに作っていた

少なくともライフサイエンス研究支援の業界は、キャンペーンを実施したり新製品を出したりして、それに対するマーケティングをするということには慣れています。しかし既存の製品を地道にプロモーションしていくことには全く不慣れです。例えば先ほどのブログで紹介したリアルタイムPCRをマーケティングすることには熱心です。そして制限酵素はキャンペーンをしながらプロモーションします。しかしその一方で、例えばライゲーションキット(T4 DNAリガーゼ)とかアルカリフォスファターゼ(BAP, CIAP)、フェノールとかのプロモーションはほとんどありません。

先ほど見たAdwordsの使い方はこれを反映しています。リアルタイムPCRは比較的新しい成長分野だからプロモーションします。そしてキャンペーンと結びつけてプロモーションします。Googleに「リアルタイムPCRプライマー」というキーワードで検索され、広告コピーの中に「プライマー」という言葉が入っていたとしても、ついついプライマーのプロモーションを忘れてリアルタイムPCRの他の製品(例えば新しい試薬と機器)をプロモーションしようとしてしまいます。

つまり、メーカーとして強くプッシュしたい製品やキャンペーンにばかり注目したプロモーションになってしまっています。

Google検索を行ったユーザは何を探したかったのか?

Google検索を行ったユーザは、メーカーが売りたいものには興味があるとは限りません。

それどころかGoogle検索を行ったユーザはキーワードを介して、自分の意思表示、自分が何を買いたいのかを既に表明しているのです。

例えばユーザがリアルタイムPCR用のマスターミックスをいくつか比較検討したかったとします。特に価格が気になっていたとします。そのときに入力されるだろう「リアルタイムpcr 価格」などは比較的検索ボリュームがあるキーワードです(Google Suggestで3-4番目に出てきます)。でも各メーカーのAdwords広告は先ほどのブログのものと変わりません。どの広告もユーザの意思とはマッチしていません。「リアルタイムpcr 試薬」と検索しても同様です。

本来は、ユーザが表明した意思に対するAdwords広告を出した方が良いと思いませんか?キャンペーン情報を探していないユーザにキャンペーンの話をするのではなく、試薬価格を知りたいユーザには試薬価格の話をするのが先決ではないでしょうか。

あるいはプライマーを探しているお客様には、真っ先にプライマーの話をしたらいかがでしょうか。プライマーの話を聞きたいと言っているユーザに対して、プライマーへのリンクを小さく隠しておいて、そしてその前に新製品の紹介をするのは失礼ではないでしょうか。もちろんメーカーは失礼なことをしているつもりはないと思いますが、シチュエーションによってはそういう結果になっていないでしょうか。

Adwordsはユーザの疑問に答えるように作るべき

マーケティング担当者にとっては、大きなマインドセットの変更が必要だと思います。マーケティング担当者は自分たちが何を売りたいかではなく、ユーザは何をどのように探しているかを考えるようにしなければならないと思います。これこそが本来のマーケティングの姿ではあるのですが、前世紀末には新製品ラッシュだったライフサイエンス業界に育った人間にとっては、これはおそらくは新鮮なアプローチになると思います。

ユーザの疑問を想定して、それに答えるようにAdwords広告を作ります。そして数はかなり多くなってしまいますので、それなりの労力をかけてそのメンテナンスを行います。さらに新製品やキャンペーン等のときにやるだけではなく、ユーザの疑問は常に年中ある訳ですから、このAdwords広告を継続的に、少しずつ改善しながらやっていくこと。これが大切だと思います。

そういうことを、例えばAmazonはやっています。

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