抗体検索とファセットナビゲーション(抗体検索の絞り込み)

この記事を含め、ライフサイエンス研究用製品メーカーのウェブサイトのあるべき姿について書いた記事を特集ページにまとめました。あわせてご覧ください。

聞き慣れない言葉ですが、ファセットナビゲーションというコンセプトがあります。ファセット(Facet)は結晶体・宝石の小面などを意味する言葉で、物事の側面を表すときにも使うようです。

ファセットナビゲーションとは、入力された検索キーワードに合わせてコンピュータ側が様々な絞り込み条件を提案する仕組みです。ユーザが自分自身で考えたり検索条件を試行錯誤したりする負担を減らすために、コンピュータが予め情報を用意しておくものです。

ファセットナビゲーションというのは抗体の検索にはぴったりマッチするのですが、この仕組みを導入しているウェブサイトはまだまだ少ないです。比較的最近に大幅リニューアルしたものから、徐々に使われるようになってきているようです。

今回はファセットナビゲーションがどのようなものか、抗体検索においてどのような問題を解決してくれるか、そして新「まとめて抗体検索」のファセットナビゲーションがどのように優れているかを解説します。ファセットナビゲーションについて良く書かれた紹介記事がネットにありますので解説はそちらに譲ります(ファセットナビゲーション:Web担当者フォーラム)。その記事の引用ですが、ファセットナビゲーションとは以下のものをさします。

さまざまな切り口(要素)でサイト内検索をしたりコンテンツを選んだりできる場合に、ユーザーに検索条件を入力させるのではなく、あらかじめユーザーに使いやすいだろう検索条件をサイト側が用意しておき、ユーザーはそれを選ぶだけでコンテンツを絞り込んでいける。こういった仕組みのことを「ファセットナビゲーション」「ファセット検索」と呼ぶ。

「ファセット(facet)」は、物事の側面や切り口の意味。ファセットナビゲーションは、サイト側で「こういった切り口で情報を探すのはいかがですか」と提示するナビゲーションとなる。

その記事の中の画像を一つ引用したのが以下のものですが、ウェブを普段から使っている皆様なら一度は目にしたことがあるだろうと思います。

Faceted navigation02

標準的な抗体絞り込み検索インタフェースの問題点

さて、ファセットナビゲーションがどうして抗体検索に重要か、いやそれどころかほとんど必須と思えるかを紹介したいと思います。

具体例で解説した方がわかりやすいので、フナコシの検索サイトで紹介します。なおフナコシの抗体検索の仕組みは、可もなく不可もなくといったところで、標準的なレベルのウェブサイトだと私は評価しています(抗体検索サイトのリストと評価)。

例えば”CD34″に対する抗体を探したいとします。そこでまず”CD34″と入力し、検索を実行します。

Funakoshi search box

この検索条件にマッチする抗体は513製品あるそうです。絞り込み検索を行う必要があります。

Funakoshi number of hits

さて絞り込みは検索条件入力用のボックスを使います。「抗原種」「免疫動物」「交差性」「適用」「標識」など、様々な条件で絞り込み検索が行えます。以下の画像はその中でも「標識」の条件を見ているものです。”Rhodamin”標識の製品を調べてみましょう。

Drill down by rhodamin

しかし結果を見るとどうでしょう。予想に反して”Rhodamin”標識の製品は見つからなかったようです。

「クソッ!」

心の中でつぶやく瞬間です(人によっては声に出しちゃうかもしれません)。

No rhodamin

これでわかっていただけたかと思います。

フナコシが提供している標準的な抗体検索のユーザインタフェースは、ユーザにギャンブルを強要しているのです。

「”Rhodamin”標識のものはあるかどうかわからないけど、とりあえず”Rhodamin”で検索してみよう。」

こういうことをユーザにやらせているのです。

コンピュータは人間の労力を減らすのが仕事です。単純な作業はコンピュータがやっておいて、人間にはより独創的で知的な作業をしてもらおうというのがコンピュータの役割です。したがって「とりあえず”Rhodamin”で検索してみよう。」というのは、コンピュータがやるべき仕事であって、人間がやるべく仕事ではありません。

でも標準的な抗体検索の絞り込みユーザインタフェースは、この単純な作業、一種のギャンブルを人間にさせているのです。

念のために繰り返しますが、フナコシのウェブサイトが特別に悪い訳ではありません。むしろフナコシの検索サイトは良い方で、Biocompareの仕組みとほぼ同等のものです。例えばコスモバイオの検索サイトに比べれば、これでも10倍は絞り込み検索が楽です(抗体検索サイトのリストと評価より)。

ファセットナビゲーションならどうなるか

それでは標準的な抗体検索の絞り込みインタフェースに対して、新「まとめて抗体検索」で提供しているファセットナビゲーションがどうやっているかを紹介します。

検索キーワードとして”CD34″を入力すると、「検索」ボタンを押さなくても瞬間的に検索結果が表示されます。そして画面の左側には、この検索キーワードのあわせて標識物の候補がリストアップされます。

Kaimono drill down

ここを見るとRhodaminのように黄色の蛍光を発するものはR-Phycoerythrin標識されたもので、そのような製品が16製品あることがわかります。

絞り検索をする前から結果が分かるのです。後はほぼ100%の確信を持って、その中身を見てみるだけです。

実際に”R-Phycoerythrin”のラベルをクリックすると、R-Phycoerythrin標識された抗CD34抗体の製品がリストアップされます。

Kaimono drill down R PE

しかも画面の左下(赤枠)を見ると、現在の”CD34″かつ”R-Phycoerythrin標識”された抗体は、”Human”, “Mouse”と反応するものはあるけれども、”Rat”と反応するものが無い(薄い色で表示)こともわかります。

つまり「まとめて抗体検索」がファセットナビゲーションを積極的に活用しているおかげで、ユーザは一度もギャンブルをするような絞り込み検索をする必要がありません。「とりあえず検索してみよう」ということが不必要なのです。

この違いは決定的です。

ファセットナビゲーションにいったん慣れてしまったら、今までの標準的な検索には戻れません。戻ったとしても、そのイライラに耐えるのがつらいはずです。

それぐらいファセットナビゲーションは重要です。

ファセットナビゲーションを導入している抗体検索サイト

すべてを調べた訳ではありませんが、抗体メーカーのウェブサイトではファセットナビゲーションを導入しているところが数社あります。新「まとめて抗体検索」の方がスピードやデザインおよび操作のシンプルさで幾分か優れているとは思いますが、いずれにしても世の中の流れは間違いなくファセットナビゲーションに向かっているようです。

喜ばしいことです。

Abcam

Millipore

BD

Sigma

Biolegend

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One Response to “抗体検索とファセットナビゲーション(抗体検索の絞り込み)”

  1. […] 「抗体検索とファセットナビゲーション(抗体検索の絞り込み)」の記事で、優れた絞り込み検索のユーザインタフェースについて議論しました。そして米国などの本社ウェブサイトで […]

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