2010年振り返りと2011年目標

バイオの買物.comおよびライフサイエンス研究用製品業界全体のインターネット活用について振り返り、バイオの買物.comの2011年の目標について紹介します。
なお、ふりかえりうさぎの画像はSAYAKAさんのブログからとりました。

参考に2009年の振り返りも一年前に書きました。

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まとめてカタログ

バイオの買物.comの2010年で一番大きかったのは、なんと言ってもまとめてカタログを公開できたことです。2009年の振り返りでも書きましたが、これが真のバイオの買物.comの形です。

公開してみて感じたことは以下の通りです;

  1. 主にGoogle検索を介して、それなりの研究者にアクセスしてもらうことができました:Biocompare.comの米国でのプレゼンスを指標として、国内のインビトロジェンウェブサイトユーザの1/3をベンチマークとして設定していましたが、それがまぁまぁ近い感じになってきました。
  2. Google検索を介してアクセスしたユーザには、十分に当サイトの魅力を伝えることができていません:Google検索でヒットするページはカテゴリーを閲覧するページではなく、製品概要のページになってしまいます。ですから当サイトで様々な比較が出来ることに気付かずに去ってしまうユーザが非常に多くなっています。
  3. カテゴリー分けがまだ不十分:これが自分自身が使っていて強く感じたことです。より精度が高く、より細かいカテゴリー分けをしないと、自分が設定した目標に遠く及びません。現在は2,000程度のカテゴリーがありますが、恐らくは5,000ぐらいのカテゴリー分けがないと真に便利なサイトにならないと思っています。ちなみにGene Ontologyでは3万以上のカテゴリーが用意されていますので、それにくらべればまだ楽です。

アクセス数について

バイオの買物.comがどれだけ研究者に浸透しているかを計る指標として、私はアクセス数を見ています。米国にはBiocompare.comというバイオ研究用製品の有名な比較サイトがありますが、このサイトの米国からのアクセス数は下表のように大雑把にinvitrogen.comの1/3です(アクセス数のデータはすべてGoogleのDoubleClick Ad Plannerの統計を使用しています)。

doubleclick US.png

Google DoubleClick Ad Plannerによる米国からのアクセス統計

私の経験では、メーカーのウェブサイトは学術情報やサポート情報が一番アクセスを集めます。Biocompare.comは多数のメーカーの製品情報を登録しているものの、詳細な情報はInvitrogen.comなどのメーカーサイトには遠く及びません。それがアクセス数の大きな差になって現れています。

その一方でBiocompare.comの価値は広く認識されていて、多くのメーカーが広告やスポンサー記事を掲載しています。研究者にも広く知られています。結論として、Biocompare.comのアクセス数はそれほど目を見張るものはありませんが、それでも十分な存在感が出せるようです。

これを受けて、バイオの買物.comでは国内のインビトロジェンウェブサイトへのアクセス数の1/3を一つの目標としてきました。

doubleclick JP.png

Google DoubleClick Ad Plannerによる日本からのアクセス統計

インビトロジェンのウェブサイトが.comと.co.jpに割れていること、それとブログがcastle104.comに含まれてしまっていること等、少し分かり難くなっています。それでも大雑把に言うと、日本からのインビトロジェンウェブサイトへのアクセスの1/4相当がcastle104.comのバイオ関連ページをアクセスしていると言えます。

カテゴリー分けについて

NewImage.jpgすごく単純な話です。

例えばHisタグ-タンパク質精製用のカラムを探しているとします。いままとめてカタログに登録されているだけでも100以上の製品があります。これをひとつひとつ見るのは大変です。製品のバラエティーをすぐに知ることもできませんし、似た製品を互いに比較することも大変です。

これを可能にするためにはより細かいカテゴリー分けが必要です。例えばスピンカラム等の簡易的な製品と液クロを使った製品が分かれていると便利です。あるいは細胞の溶解液をそのまま流せる製品等が分かると、そういうものも試してみようかという気になります。

カテゴリー分けは大変な作業です。しかし今まで以上に細かくカテゴリー分けをしないと、ユーザとしての利用価値が大幅に落ちてしまいます。2010年に実際にまとめてカタログを作りあげて、そしてそれを自分自身で使い込んでいるうちにこれを強く感じました。

まとめてカタログ:2011年の目標

上記の2), 3)の課題については、2010年の後半から地道に対策を行ってきました。2011年の初頭にはその成果を公開したいと思っています。

特にカテゴリー分けについては、作業効率を高めるための半自動的な仕組み等をよりいっそう整備し、精度の高さとスピードが両立できるようにしたいと思っています。

結果としてすべてのライフサイエンス研究者に対して、大きな自信を持って公開できるサイトの完成をしたいと思っています。

まとめて抗体検索

NewImage.jpgバイオの買物.comのもう一つの柱であるまとめてまとめて抗体検索は、2010年にはまとめてカタログに注力をしていたこともあり、改善がほとんどできませんでした。まとめて抗体検索をやめて、まとめてカタログに統合することを考えていた時期もありました。

しかしいろいろ考えた結果、2011年にはまとめて抗体検索を大幅に強化していくことにしました。その理由は、優れた抗体検索サイトのニーズが非常に高いことが一つ。さらに我々が蓄積した様々な技術を利用することによって、圧倒的に便利な抗体検索サービスを提供できそうだからです。Biocompare.comを含め、また各メーカーのサイトを含め、抗体検索システムのユーザインタフェースはどこも非常に古くさいです。Google SuggestGoogle Instantの時代を迎えた今、抗体検索サイトも相応の進化をしていかなければならないと思います。

まだ具体像はお知らせで来ませんが、2011年の前半までには公開したいと思いますので、ご期待ください。

価格を表示するメーカーサイトが増えました

NewImage.jpgバイオの業界では、ウェブサイトに希望小売価格を表示することは昔からほぼ当たり前でした。ただいくつかのウェブサイトではこれをやっていませんでした。有名なところではBD BiosciencesApplied Biosystemsです。

これだけの大手が価格を表示しないのはブランド力に対する自信の表れなのかな?それともあまりにも他社と比べて価格が高いから、見せたくないのかな?

そういう憶測すらありましたが、それぞれのウェブサイトの構造等を見ているとそれは単純な技術的な問題であったことは明白でした。BDにしてもABIにしてもウェブページがデータベースと連動していなかったために、大変な確認作業を行わない限り、ウェブサイトに表示されている価格の正確さを担保できなかったのです。10年ぐらい前のウェブサイトの作り方をしていて、以来、根本的な改善をしていませんでした。

2010年はこれらもメーカーも価格をウェブで公開するようになりました。BDABIもまだまだ価格の表示方法が不便で、その場しのぎ的な感がありますが、それでも大きな前進です。バイオの買物.comでも2011年からは両メーカーの価格を掲載するようにしていきます。

なおバイオラッドは以前は登録されたユーザにのみ価格を表示していて、何をそんなにもったいぶっているのだろうと思ったものです。しかしやはり最近、バイオラッドも価格を全員に公開するようになりました。それもわざわざ赤い字で目立つように価格を表示しています。

研究者のソーシャルメディアの活用

NewImage.jpgTwitterの世界全体での広がりを反映して、研究者がソーシャルメディアを使うことがずいぶんと増えました。ただしそれが研究を促進するのに使われるか、あるいはメーカーが研究者と交流するのに使われるようになるのかはまだまだ未知数です(先月の私の分析はこちら)。

Life Technologies社はSocial Hubというウェブサイトを立ち上げ、ソーシャルメディアに投資しているようです。どれだけ効果が出るか、注目です。

バイオの買物.comも、まだ海のものとも山のものともつかないソーシャルメディアの活用を模索していきます。将来的にはノウハウをメーカーに還元して、国内メーカーのソーシャルメディア活用を促すことができればうれしいと思っています。

政治と研究費の話

リーマンショックのような大きな不景気が訪れたとき、民主主義というのはなんと無力なことか。「民主的」な国はほぼみな息も絶え絶え。一方で「民主的」ではない国こそが世界経済回復の原動力として期待されています。

日本にいると民主党の失態ばかりが目につきますが、米国のオバマ大統領ですら中間選挙で大敗をしてしまい、下院の過半数を失ってしまう日本以上の「ねじれ」国会に対応しなければなりません。米国ばかりではありません。先進欧米諸国ではほぼ例外無く与党は不人気で非常に苦しい政権運営を強いられています。これだけの不景気なので、正直何をやっても効果がなかなか上がりません。その一方でどの国でも大きな財政支出を強いられたので、大きな財政赤字を抱えるようになりました。日本が一番悲惨なのは、リーマンショック以前から他国以上の財政赤字を抱えていたからで、日本の政治が特別に悪い訳ではない気がします。

いずれにしても、日本および先進欧米諸国が研究費を積極的に増やすことは当分は考えられそうにありません。アジアの新興国を除けば、世界的に研究費が伸びる国は無いでしょう。

バイオの買物.comはこういうときにこそ役に立つ可能性があります。本当にそうなるように、がんばっていきたいと思っています。

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One Response to “2010年振り返りと2011年目標”

  1. 福田雅人 says:

    勉強になりました。がんばってください。

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