Archive for January, 2012

iBooks Authorを製品プロトコルに使うことについて追記

Monday, January 23rd, 2012

先日書いたブログ「iBooks Authorをバイオのメーカーはどう活用できるか」について、製品プロトコルの部分を補足します。箇条書きで簡潔に。

  1. 製品を買ってくれた研究者は、ほぼ全員が製品プロトコルを読みます。製品を紹介する魅力的なウェブサイトをいくら作っても、プロトコルの方が読まれます。プロトコルは決定的に重要です。
  2. 紙媒体のプロトコルははっきり言ってわかりにくいです。特に操作のイメージをつかむのに苦労します。書き方が悪いのではありません。紙媒体の限界です。マルチメディアで解決できる課題です。ちなみに簡単な操作の流れ図みたいなものをつけているメーカーもありますが、ああいうのは全体のイメージをつかむのに役立ちます。でもマルチメディアを使えばもっとうまく伝わります。
  3. いままではプロトコルは紙媒体もしくはPDF。マルチメディア的なものはウェブサイトからダウンロードというのが常識でした。でも面倒だし、気づかない研究者もたくさんいます。そんなことより、マルチメディア的なものもすべてプロトコルに入れてしまうのが良いに決まっています。

考えれば考えるほど、やらない理由がないように思います。

唯一の障害は日本のアップルがiBookstoreを動かせていないこと。でもだからこそ、最初にやれば目立ちます。
(iBookstoreの問題を迂回するやり方はいくつかありそうです)

iBooks Authorをバイオのメーカーはどう活用できるか

Saturday, January 21st, 2012

NewImage2012年1月18日にApple社はiBooks Authorというアプリケーションの無償配布を開始しました。

このアプリの詳細はアップル社のウェブサイトで確認できます。一言で言うと「マルチメディアを駆使したiPad用の電子書籍が簡単に作れるワードプロセッサ」です。

例えばPromega社が作っている“Promega App”、Life Technologies社が作っている“Life Technologies Protocols App”, “3D Cell Simulation and Stain Tool”といったアプリが簡単に作れるようになります。

今まではマルチメディアを駆使したインタラクティブなiPadアプリを作ろうと思うと、アプリの開発をソフトハウスに委託しなければなりませんでした。しかしiBooks Authorを使えばほとんどのことがワープロ感覚でできるようになります。外部に委託することなく、社内で作れるようになります。

製品プロトコルをiBooks Authorで作る

例えばインタラクティブな製品のプロトコルが簡単に作れるようになります。解像度の高いカラー写真を掲載したり、操作方法のビデオを掲載できるようになります。操作の各ステップをわかりやすく示した図表も掲載できます。

紙のプロトコルの場合でもメーカーによってわかりやすさに大きな違いがありましたが、製品を選択する際の大きな差別化ポイントになることはありませんでした。しかしiBooks Authorで作ったプロトコルなら差別化ポイントになり得るぐらいの大きなインパクトが与えられます。

しかも具体的な仕組みの詳細はまだわかりませんが、プロトコルのアップデートの面倒はすべてApple社が見てくれる可能性が高いです。つまりプロトコルのバージョンを更新すると、全ユーザのプロトコルがほぼ自動的にアップデートされます。プロトコルに誤植が見つかったり、あるいは製品の改良によってプロトコルが変更になっても、それを確実に研究者に伝えることができます。

例えば細胞にDNAを導入するトランスフェクション試薬であれば、実績が重要になります。過去にどのような細胞で成功し、その際の条件がどうであったか、トランスフェクション効率がどうであったかなどです。現状ではこのような情報はウェブサイトで紹介していました。しかしiBooksのアップデート機能を使えば、新しい細胞で成功したという報告があるたびにプロトコルをアップデートし、そしてApple社のサーバ経由で研究者に伝えることができます。

iBooks Authorのおかげで、製品プロトコルが強力なマーケティングツールになる可能性がでてきました。

季刊誌をiBooksで配布する

多くのメーカーは季刊誌を発行しています。例えばRoche Diagnostics社であればBiochemicaニュース、ClontechであればClontechniquesがあります。今まではこれを印刷して、代理店を介して配布するか、直接郵送するかなどをしていました。そしてそのためのコストは毎号200-300万円します(原稿翻訳など抜きで)。

iBooksで作ったものであれば高解像度の写真が掲載できますし、遙かに魅力的な季刊誌を簡単に作ることができます。配布方法はメルマガにiBookstoreへのリンクをつけるなどにすればコストは激減します。その分のコストを魅力的なコンテンツ作成に充てれば、すばらしい季刊誌ができてくるのではないでしょうか。将来的にはNewstandアプリと連携できるようになる可能性もあり、こっちで配布できるようになる場もっとスマートな配信が可能になります。

まとめ

ライフサイエンス研究用製品のメーカーは研究者にとって有用なコンテンツを非常にたくさん持っています。しかし非常に多くは印刷用に作られたPDFであり、それをウェブサイトからPDFでダウンロードできるようにしている程度のことしかされてしませんでした。研究用ツールというのは当然ニッチな市場ですので、多額のコストをかけて魅力的なマルチメディアのコンテンツをたくさん作るということはあり得ませんでした。

しかしiBooks Authorはマルチメディアの制作コストと配布コストを劇的に下げてくれます。マーケティング担当者が自らレイアウトすることだって十分可能です。

その一方でこれだけ魅力的なマルチメディアコンテンツが大きなマーケティング効果を発揮しないはずはありません。

チャンスです。

メーカーならすぐにでもコンテンツ作りを試すべきだと思います。

追記

iBookstoreの日本でのサポートについては以下のサイトをご覧ください。現状ではサポートされていないようですが、近いうちにサポートされることを期待します。サポートされていなくても配布できる方法はあると思いますが、やっぱりiBookstoreで配布できるのが便利。

いつも思うけど、日本のアップルって、サポート業務以外はあんまりちゃんとできていないよね。仕事しているのかな?

iBookstoreから「aのかたち」リリース
iBookstoreでの出版顛末記