Multi Channel Funnel機能でネット広告の貢献度を調べる

2011年8月24日にGoogle AnalyticsはMulti-Channel Funnelsという新機能を追加しました。

Multi-Channel Funnelsを一言で説明すると
「ゴールを入れた(広告・紹介)だけでなく、アシストしてくれた選手(広告・紹介)も評価する仕組み」です。

例としてバイオの買物.comの「まとめて抗体検索」のものを紹介します(2011年9月データ)。

以下のレポートを見ると、利用者がバイオの買物comの「まとめて抗体検索」にどうやってきたか、どうやって再訪問したか、そしてどうやって最後に抗体を見つけてメーカーサイトに移動するまでに至ったかを知ることができます。

Antibody multichannel

例えば6行目を見ると、この36人は最初はGoogleの通常検索(無料)で入ってきたけど、そのときはそれほど興味を持たなかったようです。後日Google検索を介して再訪問し、抗体を検索し、そしてメーカーサイトに移動したと思われます。

また8行目、11行目、17行目を見ると、Googleの有料広告(Adwords)で入ってきたけどすぐには興味を持たなかった人が、後日になって再度「まとめて抗体検索」を探すとき、再訪問してくるときにもAdwordsを介していることがわかります。16行目のように、再訪問のときはGoogleの通常検索(無料)で入ってくれるか、17行目のように再訪問のときは直接URLを入力してくれる人は少数派であることがわかります。

このように様々な広告活動がどのように関連し合っているかが見られると、いままでと全く違う展望が得られます。

以下ではバイオの買物comで解析したこと、考えたことを解説していきます。

まず最初にAIDMAから

消費者が最初に広告を見てから実際に購入に至るまでの経路のモデルとして、マーケティングで良く言われているのはAIDMAです。

AIDMAの考え方では、消費者が商品を知って購入に至るまでに複数の段階があります。

  1. Attention(注意)
  2. Interest(関心)
  3. Desire(欲求)
  4. Memory(記憶)
  5. Action(行動)

ポイントは何かというと、消費者が商品を購入するまでには複数の段階があり、それぞれの段階を的確にフォローすることによって消費者はスムーズに購入に至るということです。

最初にAttention(注意)を引くことばかりに注力して、Desire(欲求)を駆り立てることを怠ったり、あるいはMemory(記憶)してもらうことを怠ったりすると、最終的な購入に至らないよということです。

当然のことですが、衝動買いするような商品の場合はMemoryなどは無視してかまいません。しかしライフサイエンスのようにほとんどの製品が数万以上するもの、場合によっては試薬なのに数十万円する世界ではDesire(欲求)やMemory(記憶)を大切にする必要があります。

なお値引きキャンペーンやまとめ買いキャンペーンなどは通常は最後にAction(行動)を引き起こすために行うものになります。

このAIDMAの考え方を振り返りながら、弊社で考えたことを紹介していきます。

Adwordsが無駄に使われている

ちょっと強い言い方ですが、「Adwordsが無駄に使われている」(Memoryに使われちゃっている)というのが大きな衝撃でした。

Adwordsはpay-per-clickというもので、クリックされるたびに課金されるものです。したがって広告宣伝費をなるべく抑えたいと考えている広告主としては、なるべくならば最初だけAdwordsをクリックしてほしいと考えています。最初だけAdwordsをクリックし、後日訪問するときはAdwordsではなく、通常のGoogle検索を利用するか、もしくはURLを直接入力するかを期待しています。そうすればAdwordsに支払うのは最初のクリック分だけで済みます。

しかし現実は違います。Adwords経由の訪問者は、再訪問のときにもAdwordsを使う傾向が強いのです。

以下の図はGoogle Adwordsを利用した訪問者に絞ったものです。目的の抗体を見つけてメーカーサイトに移動した訪問者248人のうち、2回以上訪問したのは140人いました。そして驚いたことに、再訪問にGoogle Adwordsを使ったのは80%の111人だったのです。

AIDMAのモデルに照らし合わせると、広告主の期待とは裏腹に、Google AdwordsはAttentionを引くために利用されているのではなく、MemoryからActionに利用されていることがわかります。

だからといってGoogle Adwordsが「無駄」というのは強すぎる言い方で、Memory的なフォローは大切だよというのがAIDMAの考え方ではあるのですが、少なくとも当初の考えとは大きく異なっていたことには衝撃を受けました。

実はGoogle Adwords経由の訪問者はリピートユーザが多いことは把握していましたので、以前から「何か怪しいな」ということは思っていました。しかしMulti-Channel Funnelを見ると、本当に何が起こっていたかが一目瞭然です。

Adwords multichannel

メール数週間にわたって何回も利用されている

以下に紹介するのはメールがMemory(記憶)に大きな役割を果たしているということです。「まとめて抗体検索」のサービスを案内するメール9月22日に配信したときのデータを紹介します。

以下の表は、メールのリンクを最初にクリックしてから、実際に「まとめて抗体検索」を利用して抗体を見つけ、メーカーサイトに移動するまでの経路です。

メールにあるリンクをクリックして、その場で検索を行ってメーカーサイトに行った利用者が多数ではあります(36/58)。しかし残りの31%(18/58)人はしばらく経ってから再度メールを見て、そこから「まとめて抗体検索」に再訪問し、検索を行っていることがわかります。

つまり利用者の受信箱に残っていたメールがMemory(記憶)の役割を果たしたことになります。

下記のもう一つの表は、メール経由で最初に「まとめて抗体検索」に訪問してから、メーカーサイトの行くまでにかかった日数です。特に注目するべきは12日間以上経ってから再訪問した利用者が13.79%もいたということで、メールによるMemoryは長持ちすることがわかります。

Antibody mail routes

Antibody mail

まとめ

以上の解析から学んだことをまとめます。

  1. Google AdwordsはAttention(注意)の効果もありますが、支払っている広告費のかなり多くはむしろMemory(記憶)に使われていると考えられます。Memoryならば他のより安価な手段で代替できないか気になります。例えばウェブサイトのブランディングをより強力に打ち出すなどによって多少の効果は期待できます。しかし最初にGoogle Adwordsで引っかかった利用者ならば、次回もGoogle Adwordsから入ろうとするのは自然なことなので、抜本的な解決は難しそうです。Google AdwordsはMemoryに効果があると割り切るしかないかもしれません。
  2. メールは一過的に消費されてしまうと考えがちですが、有用と思われたメールは受信箱などに長くとどまることが多く、数週間にわたってMemory効果を発揮します。
  3. 今回の解析結果は「検索を実行して、メーカーへのリンクをクリックする」という非常にハードルの少ないコンバージョンで得たものです。実際の商品の購入となれば、DesireやMemoryの効果はより大きく出るはずです。そう考えるとMulti-Channel Analysis解析は必須とも言えそうです。

最後に

以上の解析を行うにあたって、Google Analyticsの設定および広告についても若干の設定が必要になります。Google Analyticsは無料のサービスですが、このような設定は決してわかりやすいものではありません。

もしGoogle Analyticsの設定などでお手伝いが必要であれば、気軽にご相談ください。無償という訳にはいきませんが、リーズナブルか価格で行います。

またライフサイエンスの業界は直販ではありませんので、ネットで製品を販売していません。そのためコンバージョンを考えるのが困難ですが、どうやったら良い指標がえられるかについても相談いたします。

メーカーがより効果的に製品をPRできるよう環境を整えることは、バイオの買物comの大切な使命の一つです。今後も情報を提供して参りますのでよろしくお願いいたします。

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